市内のカルチャーセンターが三月末で閉じた。
もう一つあるほうに、人が流れてきて大変なことになってる。
(とうとう県庁所在地なのに、カルチャーセンターは1つになった)。

新規講座が続々と!

その中に「!!」

大東流メディテーションだか、なんだか。(まともに覚えていない)
例のA師範が講師で出てた。A師範は私が大東流の最初の道場を辞めた後に入会してきて、やたら今は宣伝マンと化している輩だ。
(ちなみに、私は彼がとにかく苦手だ。人を外見で判断するなというが…)

その彼が、ツイッターでめちゃくちゃ宣伝していて、YouTubeでめちゃくちゃ宣伝しているので、嫌でも目に付く。

メディテーションかー、何やるんかな? で、毎回来るん?

疑問は尽きなかったが、いたずら心がおきた。
私が行っても良いが、多分すぐばれる。
なので、知人を体験に行かせたのだ。(彼女は白髪の結構な高齢の小柄な女性である。筋力もない)。

彼女はかなり渋っていたが、私に請われて「仕方ないなあ、体験だけですよ」と念を押す。
講座案内には、あんなことやこんなこと良いことばっかり書かれていたし、彼女がそこに入門しても仕方ないなと思ってはいた。

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聞いてください。

私に顛末を話そうと、彼女は勝ち誇ったような顔で現れた。
やらかしたんじゃなかろうか。(やらかした=私が行かせたとばれた??)
私の不安をよそに、勝ち誇った顔で彼女が説明したのは以下の通り。

お弟子(茶帯と白帯、どちらも男性)がサポートに来てました。
体験者は自分を入れて三名。あと二人は高齢の男女。

A師範は説明だけで実技は茶帯にやらせたそうである。いや、正確にはやらせようとした。

茶帯くんは彼女にまったく歯が立たず、「僕は師範じゃないので」「あなた、何者なんですか?」「あなたは師範かなんかですか?」と押し問答を繰り返した挙句、出てくる予定のなかったであろうA師範がそのあと、ずーっと彼女の相手をしたそうである。

「動かされた?」

「ええ。でも、あれは氣じゃないです。あれは筋肉というか何か混ざってます!」
「私は非力ですから、仕方ないです」

そうか。
私は、もうそれ以上の情報は必要なかった。
ネット界隈で大活躍中のA師範。とたんに興味が失せた。彼女は力こそないが、「氣」にはうるさい。彼女が違うというのだから、違うのだろう。

なんか言われた? と私が水を向けると、「あなたはすごく強い。氣の力が強い。なにか鍛えてありますか? って聞かれました」という。まさか、私の名前を出したのではあるまいかと一瞬身構えると、笑顔で「太極拳を長いことしていますって言いました。嘘じゃないもん」と。
二人で顔を見合わせて笑う。
きっと、茶帯くんはこの地の太極拳教室に入門したに違いないね。
各教室を回って、あなたを探すんじゃない? いえいえ、来てもらっては困ります。

結局講座は3名では不成立。
彼女はホッとしていた。やはり見学に行って入会しないというのは勇気のいることだろう。

後日譚があって、どちらもとても面白い。

後日譚1
彼女はしばらくA師範の「氣」のようなもの(彼女に言わせれば不純物まみれ)が手に残っていて、家に帰ってずっと手を洗わずにおれなかったらしい。それも意識的ではなく、ずっと気づいたら手を洗っている。娘に「お母さん、どうしたの?」と言われて気づいたらしい。身体感覚として受け入れられなかったのだろうか。そういう「氣」って…。

後日譚2
A師範のツイッターには、彼女はものすごく氣に関心の高い人で、とても楽しんで体験した。興味津々で喜んで帰っていったとある。なるほど、ポジティブ思考にもほどがある。それはそれで彼のすごい才能だねと、これも二人でいたく感心したものだ。

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A師範のおかげで、私自身は彼らの行く道と違うなあと完全にはっきりしたのである。
師匠の技をネットなんかで切り売りしないで、ちゃんと学ぼうとしてくれる人に手渡ししていこう。
それでいいのだ。



No.520 PERMALINK