「透析を止めた日」
NHKのディレクターをやってた夫の闘病記(妻による)。
一言で括るとそうだが、いやいやいや。
透析が、腎不全の人にとっての命綱であり、その普及が多くの命を救ったことは間違いない。
しかし、高齢化していくにつれ、透析自体の負担が重くのしかかる。
もっとも、著者の夫は60歳で永眠なので、若い。若すぎる。
ポイントだけ書く。(覚書である)
・高額医療を躊躇しなくて済むエリートだなあ(一千万円の肝腎同時移植を提示されてもひるまない、死の数年前に新居をしつらえるなどなど)
・武道を学生時代頑張ったことが、その後の人生を支えるケース。この方は剣道部。素晴らしいと思う反面、自分自身は部活動の経験がないので、なんとなくその成功例の裏にいろいろあるだろうなとうさん臭く感じてしまう。ああ、私の心が汚れている。
・腎不全からの透析の人の多さ。34万人。そして平均年齢70歳くらい。ということは、人生の終末についても議論が必要だが、緩和ケアの対象にはならない。
・透析を止めれば、壮絶な看取りとなる。
・この本で一番衝撃だったのは「腹膜透析」についての話だ。腹膜透析という手技があることは知っていたし、学生に説明もする。しかし、血管透析へいく一過性のものだと思っていたわけだが、全然違う。その実態を見ておおおおおおおおとなった。
・また、腎透析が一般に普及したことは本当にすごい喜ばしいことだが、その裏で、「透析に手をだせばビルが建つ」というようなビジネスモデルとして普及していくわけで、一年で数百万かかる医療(そのほとんどは医療保険で賄われる)の闇の部分をちゃんと書いてくれている。
・前述の「腹膜透析」はインフラがほとんどいらない! 誰も金儲けしない! すごい。
読んでよかった素晴らしい本。
他にもたくさん書きたいが時間がないし、次に読み始めた本があまりに薄っぺらく、怒り心頭なので、また書くかもw