仕事を終えて、ほうほうの体で弓道場へ向かう。
仕事は、本当に大変だ。オンラインでやりたくないし、申し訳ない気持ちで一杯である。
学生の中には、「先生、ユーチューバーになったら、私1番に登録するけん、やって!」という奇特な人もいるが・・・。
3月1日から、対面解禁となったが、窓、ドア全開ということで、防寒着を着て、カイロを握って、マフラー手袋でやらねばならないようだ。

弓道場には、なんとS市からの二人。
S先生とT先生。
T先生はまた帰るところだった。残念だが、仕方ない。
またねーと大きく手を振って別れを惜しむ。
T先生は、部活動の指導のために弓道を始めた。真面目な人である。
笑うと目が細くなってなくなる。楠見蔵吉を丁寧に上品に優しく引く。

S先生は、20日中央審査を受けてきた。(教士)
結果は、「該当者なし」だったそうだ。それもS先生は束ったらしいのに!
厳しい世界ですねえ。眼鏡の奥の柔和な瞳が、くすくすと笑う。
もう落ちるのは慣れっこです。色々見てもらえてよかったです。

話をしていると、S先生は弓道を社会人になって始めたそうだ。
6年で五段とりましたよ。と言われて、私6年過ぎましたと頭を掻く。

私は、相変わらず的中も矢所も安定しない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
見かねたか、S先生がアドバイスをくれる。
初めて知ったことだが、弦溝と中仕掛けの関係について、絵を描いて教えてくれた。
私の中仕掛けは細いから、引っかかってるんじゃないか? と。
そして、三分の一は溝から弦が出てないとだめよ。
そして、ころころところがりでるように離すんだよ。

取りかけから、親指を弾く。
そういう離れは、以前も習ったがあまりに難しいので師匠に相談したら「できないならただぶっ千切りなさい」と言われて、その「ぶっ千切り射法」をやってたわけである。今まで。

千切るのはね、力がいるでしょ?
だから流れが止まる。力使ったら変な方向に行くでしょ。
ウンが良ければ中るけど、そういうのもったいなくない?
弦を弦溝から、転がり出すように離すの。

慌てて、中仕掛けを太く作り直す。
はー。矢の筈を番える場所を造るという目的だけじゃないのだねえ。
知らなかったわ。
横についてアドバイスしてくれる。
指を弾く。

以前それに挫折したことは言わないで言われた通りにやろうとするが、出来ない。
でも、やろうとしてるし、以前みたいに、やる前から挫折なんてことはない。
お、進歩してるじゃん? 相変わらずできないけどね。

的中は少し上を向いた。明日試合だし。

そして、一回だけだったけど、「ころころ」! と弦が転げて出て行った。
ころころ来た-!! S先生が帰ったあとだったので、一人でめっちゃ喜びました。
(そして、当然、その後はまたできないんですがね)。

46射
21中
45%

半矢までもう少し。
明日はがんばろー。

No.330 PERMALINK