6日目

2026/08/16(日) 04:54
やっちまったあ・・・
楔を抜いて、縄をほどく。

弓だ!
側面をやすりで掃除して、最後に、かみしもの額木を削る。
…いくつか失敗。

一番大きい失敗は、長さをそろえるときに、外竹にのこぎりで線維に直角の傷を入れてしまった。

あー、もーあきませんわ。
それ、引いたら、爆発するよ?

真顔でK師に言われ、固まる私。

え。マジっすか。やば。
絶句して顔を青くしていると、真顔から破顔一笑「いやーおもろー。からかいがいがあるわ」
もっと続けたれと思ったけどね。と大笑い。

そんなところ、大丈夫ですやん!!

え、私のこと、からかった? ホッとして、その場にしゃがみこんでしまった。
冷や汗かきました。

本筈の一番下のあたりなので、関係ない。
商品価値はないですよとも言われたw そりぇそうだ。

どこまで本当で、どこまで冗談かわからん!!

見かけは悪くて売り物にはならんけど、全然引くのに問題ない。
それなら、大丈夫。


見かけというけど、それはわざわざよく見ないとわからないような傷である。

昼ごはんはおにぎりと目指しと、サラダとお漬物、大きなしゅうまい、お味噌汁。
本当に大きなおにぎりで、小食の女性が一つ私の皿に載せたw
しかし、美味しかった。

午後は筈を切る。
筈を切るのも、けっこうシャム柿硬くて四苦八苦。
なんとか形になったのが、午後3時。

弦を一人一人かけていく。
シナイ弦と呼ばれる太い張り込みようの弦をかける。
「一瞬ですよ。見といてください」

裏ぞりが50センチ以上ある湾曲した形のを、張り台を使って整えながらさっと弦を張る。
本当にあっという間。
K師らしい下の強い良い形になった。弓だ!

写真を撮って連絡先の名前を書いて、弓に結わえる。これで作業終了!
あとは年末に仕上げに来なければいけない。お金はなんとかする。

息子さんから近所の美味しいアイスクリーム屋を教えてもらって、参加者全員で食べに行くことになった。

高いのは慣れっこだ。
でも、大中小あって、大が1200円ですかーw
中にしました。それでも850円。
うわああ。でも美味しー。感動の味でしたが、息子さんおすすめの黒蜜黄な粉やかりんとうは売り切れ。
牛乳、黒ゴマ、マンゴーを頼みました。

金銭感覚が全く違う。けど、それはもう飲み込もう。

そして、最後の晩御飯。
午後はニンニクの良いにおいがずっとしていた。

皆は餃子じゃないかと言っていた。
私はまさかのステーキじゃないかと。(そういうにおいがした)

大正解。
夕食はなんとでっかいステーキ。
美味しかった。なんというか。まず、この人数分を同時に出せる?
丁度良い加減のミディアム。
赤身だったが、焼き方でこんなに柔らかくなる。
そして、肉のうまみ。しばらく無言でいただきました。
おいしかった。

デザートはレンコン饅頭というササにくるまれたトロッとした笹団子みたいな餅。
美味しいのなんの。

明日で終わり。
すっごい楽しかった。

No.688 PERMALINK

とうとう5日目。

2026/08/14(金) 22:44
おおお。もうすぐ(明後日)終わり。

もうなんだかまだ5日かよというくらいの親密度でわちゃわちゃとおしゃべりにも花が咲く。

今朝は朝7時すぎに待ち合わせて、ワークショップ始まる前にK師のおすすめパン屋にならぶ。
絶品クロワッサン。一個300円…高い!!
びっくり。都会は違う。というか、朝の時間にこんなに人並んでる!
でも美味しそうだったので、2個食べた。
まともなクロワッサンなんて、いつ以来だろうと思うからだ。
まともなちゃんとしたバターのクロワッサンで、本当に美味しかった。
けど、高いな…。

というか、やっぱりワークショップに来る人達って金持ちだった。
「年末にウイーンから、チェコ、ハンガリーまわって遊びました」とか「来月は観光で京都に来ます」とか「全日空ホテルに泊まります」とか(これには「一泊2万で安いんだよ!」とか言われて、なんと返したらいいか迷った)。
コーヒーも私には550円がちょっと痛かった。けど、みんなコーヒーだけではなく、でかいシュークリーム(500円)とかも持って帰って食べてた。
おやつに1,000円はいくら旅先でもなーーーー。

金銭的な悩みはまだ最後まで続くのであるが。

朝から、昨日弓打ちした人の縄をほどくのを見学。
ほどくのもちゃんとしてくれないと、麻縄が次に使えないんだよと厳しく言われ、緊張していた。
だんだん弓の形になっていくなあ。
その人たちは関板(額木:弓の上下を止める小さな部分)に弦がかけられるように、削り始めた。
結構大変だし、失敗できないところ。
一番セレブな女性は「かりん」を選んで、硬くて四苦八苦。
私と同じ18キロの男性は「黒柿」。
後は、桜や櫨。

好きな額木を選んでてねと言われて、悩みに悩む。

普段の私なら、目立たない普通のでいいと思うところだ。額木の種類で弓の性能が左右されるなら別だが。
(少しは左右する。弱い弓に重い額木を付けることは、弓がエネルギーを奪われるから勧めないと言われた)。

桜や櫨は普通過ぎるなあ。

私が悩んでいると、K師がこれは?と白黒の銘木を出してきた。
「シャム柿」である。黒柿があまりに珍しいので、その代替品として南米から輸入されている木らしい。
シャム柿のほうが、黒柿より柔らかく色がきれいである。
「パンダウッドと、孫は言ってたわ」と。(K師のお孫さんはアメリカにいる)。
あ、じゃ、それにします。

午前はK師の助手のようなことをして、過ぎた。

途中アメリカ人が入ってきて、英語で弓が欲しいと言っていたらしい。息子さんが対応して17キロの伸び寸を出してきたが、K師に相談ということで作業場まで彼を通した。
K師は流暢な(関西なまりの)英語で「弓は引いたことあるか?」とかそういう質問をした。
すると驚いたことにそのアイダホ出身の彼は全く弓道を知らない。
フラッと寄って買える値段か!? (13万くらい)。円安を恨んだ。

「あのな。弓道は道やねん。武道やねん。ちょっと引きますわーっていうのはできんねん。」
「武道センター行ってきな。ここにあるから。建物いくつかあって、弓道のところにいって、学んできてそれでもやりたいというのだったら、売るわ」
「私弓道教えにアメリカ毎年行くから、アイダホの近くまでいくから来る?」とまで言った。
「まあ、武道センター行って、まだ買いたい思うんやったら、来て」と。

結局今日は彼は来なかった。こんな面倒くさいもんやれるかと思ったんだろうねとK師は笑っていた。

売りたくない気持ちがすごくわかる。
だって、こんなに魂を込めて作ってるんやもん。
いい加減な奴に売れるかいな。

昼ごはんは、スペシャルなサンドイッチに、ヨーグルトとフルーツ(バナナとミカン)。
サンドイッチのパンは、K師のお嬢さんが焼いているらしい。
ぱりぱりのレタスにハムチーズと、キュウリと卵。
こんなにたくさん食べれないよーと悲鳴が聞こえたが、全然皆完食でした。
ヨーグルトにはK師がカナダから持ち帰った本物のメープルシロップをかけた。
もう、なんていうのかな。芳醇な味。
弓を打ちに来たはずなのに、毎回の食事でノックアウトされている。
神様、参加させてくれてありがとう。

午後、とうとう3時を回って弓打ちが始まった。

それまで、弓を16度の部屋でキンキンに冷やす。
接着剤もキンキンに冷やす(生クリームを立てるときのように、氷に金属のボールを浮かべて接着剤を作る)。
中打ちのときと同じ尿素系の二剤の接着剤だ。

一旦作業場はキレイに掃除されて、厳粛な気持ちで弓打ちが始まる。

ここからは素人が手をだすことは厳禁。
楔を弓師に手渡すくらいの仕事しか残っていない。

外竹、中打ち、前竹の三つにそれぞれ接着剤を塗って重ねる。
ササと呼ばれる薄い板でそれらを挟む。
麻縄をぐるぐるとかなり詰めた間隔で上から下、下から上に巻く。
そこに楔を打ち込んでいく。
打ち込む楔は110個前後。
グネグネとまだ自由に動くのを形を整えながら打ち込んでいく。

take08.gif

写真を撮らせてもらったが、顔がまるわかりなので他のところから借用した。

そういえば、中打ちになんでも書いていいよと言われたので、M先生が長生きしてくれるように書いた。
(中打ちはもう見ることはない)。

そういえば、今日は私の手を「可愛い」とは言ってくれなかったなあ。ちょっと残念。

私のことは「変人やろ?」と言うが、師匠のほうが変人なので、変人に変人と言われることはまわりまわって普通の人ということであろうと思う。


晩御飯は、鮭のムニエルバターキノコ添え、ルッコラのサラダ、京生麩、ピーマンの炒め物、ヒジキ、みそ汁、ごはん。
デザートは「老玉」うばだまという京都の生菓子。おいしかったーーーー。
本当に、こんなにおいしいものがあるんや…。食べれば一緒。栄養とれればいいとどこかで思ってる自分もいるのだが、毎回「いや、味大事」と思う。
もう、なんというか、滋味あふれる感じなのだ。
洋食のときは、器はロイヤルコペンハーゲンだそうだ。
あ、一部ウエッジウッドもあるけどね。

あー。お金持ちーーー。

その夕食の時の話で、弓打ちが終わった、荒村はとる。けど、一か月くらい裏ぞりをみながら、張り込むことになる。
(だからすぐ持って帰るわけにはいかない)。
K師は9月外国、10月手術(首の手術をするらしい)なので、11月末以降来てほしいと言われた。
もう一回来てもらって仕上げをするとは、案内に書いてある。
でも往復3万である。
安い弓なら買えてしまう。

だから、私は息子さんがこっち方面に来てくれるときに渡してもらう予定だったんだわ。

でも、皆がキラキラした目で「来ます!」と言ってるのを見て、本当に仕上げに来たくなってしまった。
三万・・・。
お金ないわ。

とっても惨めな気持ち…。
一応来るつもりですが…とお茶を濁した。

ああああ。
お金持ちだったらなあ。

12月で奨学金返し終わるけど…。

悩む。胃が痛い( 一一)



明日になれば固まるので、私たちが今度は縄をほどいて楔を抜く番だ。



No.687 PERMALINK

4日目

2026/08/13(木) 23:12
今日は中打ち製作。

私は昨日作った中打ちの紐を外し、くさびを外す。

午前、午後とかけて、前竹、外竹のひたすら削り。
粗削りと前竹は少し手伝ってもらったが、外竹は一人で何度も「もう少しこの辺」と言われながらやり切った。
ずっと鉋を握っていた右手は痛くはないが、握る形に手が固まってしまった。
昼ごはん(今日は、しょうがごはんと、関西風のうどん。すっごい分厚いあげとすっごい美味しいお出汁)を食べても延々座って削り続ける。
僕らやったら、10分ですわー。と笑うけど、素人がやったら2~4時間かな。

私の弓打ちは明日になってしまった。
やはり、最初のグループの人の弓を打つということで。見学しようかなと思っていたら、追い出された。
「自分の時の感動が減るから、どっかコーヒーでも飲んでおいで」

仕方なく、同じグループの人たちとふらふらと京都の町を歩く。
とにかく人が多い、外人さんも多い。車も多い。道が狭い。

K師は英語はペラペラ。
毎年数カ月ヨーロッパを回る。弓を教えるのだという。
道行く人に質問されて、かなり癖のある英語だが、しっかり受け答えしていた。
翻訳するとこんな感じ。

「どっから来られました?」
「ああ、フランス。僕も毎年フランス行きますよ」
「都市? リモージュですわ」

道行く人は「リモージュ! よく知ってる!」と喜んでいた。


…弓打ちの前は、作業場を片付けて、ワックス塗って、ピカピカにしてやるようだ。
み、見たい! 明日かー。

ただ、私が手持無沙汰にしているのを見て、K師が「中打ち削ろうか?」と言ってくれたので、お願いした。
中打ちの厚みをどんどん削っていく。
切り落とした端っこは、記念にと渡してもらえた。
キーホルダーにしようかな。
12キロの人のはペラペラになっていたが、私のは結構な太さである。
いや、ホンマにまだ20キロやと思ってるんちゃう? 内心疑うが、弱くなるより良いので放置しておく。

いや、あれだけ私の左手(弓手)を見て、手幅を考えてくれてるんだから、そこは信頼しよう。
見るたびに「かわいらしいな」と言ってもらえるのは、大変光栄である。
私の人生、可愛いとは無縁だったので、この数日でたぶん一番かわいいと言われた(手だけ)。

晩御飯は、ミートローフ、ガーリックパスタ、野菜のコンソメ、野菜の蒸したもの(ものすごい量)、トマトサラダ。
奥様すごいわ。
信じられないくらいレベルが高い。
美味しいし、彩もきれい。器も美しい。

明日は早起きしてK師お勧めのパン屋さんに行くことになった。
楽しみである。


ちなみに持ち込んだ廃弓寸前の桑幡道信は「ええ弓やん」とのことで、普通に弦をかけてもらえた。
えええ!? 出木気味なので、少し火入れしてもらう予定。
でも、きっと20キロないくらいかなと言われた。
良い弓やけど、いつ爆発するかわからんからなとも。
(冴えた弓ほど壊れやすいものである)。


明日が楽しみ。
というか、日々が過ぎるのが早い。


No.686 PERMALINK

3日目

2026/08/12(水) 21:12
なんということだ。あっという間に3日目が終わった。

台風の影響はさほどではなく、途中で雨は降ったが、大丈夫だった。
京都の町屋は吹き抜けがけっこうあるので、家の中を歩いているつもりが、雨に打たれるという珍しい経験をしたが。
(土間で作業場と店先の作業するところがつながっている。その上は空である。畳のある所は屋根がある)。

朝からせっせと削りに勤しむ。
私の手の動きを見ていて、「手伝いすぎたな」とK師がぼやく。
すみません…雑やけど、早いのが特徴なんです。
ぎこちない動きを哀れに思ったか、何度か手をだしてくれたが、だいたい一番乗りで前竹(内竹)の削りが終わった。
「いやいや、まだやでー」と手に取ったK師は速攻「いや、もうやめて。OK」と。
そして外竹に取り掛かっていたら、中打(弓の真ん中に入る芯。ヒゴで作る)を作るグループに入った。

昼ごはんは、焼き豚丼。これも美味しかった。お味噌汁に、酢の物も美味しくいただいた。

午後からは中打ち造り。

中打は3本ヒゴと5本ヒゴがある。私の弓は強いので、5本入る。
中に芯材としての木材を入れているが、「桜」らしい。
側木は黄櫨。さ、最高級の今は手に入らない木材である。(K師は言わなかったが)。さすがに「それ折ったら、追加料金もらうでー」と言われた。
黄櫨は、本当に黄色で、もうバンドソーで切った粉が、黄色いチョークの粉のようである。
それを向きを変えながら、層にしてまとめる。それは職人がやってくれる。
握りに職人がマークを入れてくれて、一つにまとめて接着剤部屋に入る。

なぜ接着剤部屋かというと、接着剤(今回は尿素系の二剤混合接着剤を使う)の硬化が温度が高いとあっという間におこり、私たちのような素人がもたもたしていると作業できないからである。
つまり、部屋は16度設定でクーラーをガンガンにきかせてある。実際には20度弱くらいの室温であったが。
外気温もそれほど高くなく、過ごしやすい一日であったが。

4人一組で、中打ちに接着剤を塗り、紐をかけて、くさびを打っていく。
ぐるぐる巻きにした紐の間にくさびを入れていくことで、がちがちに締まる。
紐は麻縄? 交差を必ず両面に作る。縄の交差の感覚は14cmくらいか。近すぎても遠すぎてもいけない。

あなたの弓は20キロやったね。

K師に何度も言われて、いやいやいや18キロですよ。と訂正する。
いや、変わらんやろ? 変わります。
という問答をなんどかした。
私を見て、笑いながら「なぜか20キロという風に思うんだよな」と。

夜ご飯は、おしゃれなカフェ風!
フランスパン(ガーリックバター、パセリ添え)
チキンのトマトソース煮込み、
コーンスープ。
生ハムのチーズとスプラウト巻き、
レッドキャベツのザワークラフト風。
いやいやいや。美味しかったが、お代わりできなかったので、帰りに小さいカップラーメン買って帰ったw

さすがに三日目は、他の参加者たちの発言も多くなり、にぎやかに夕食を終えた。
他の人の話もとても面白く、今後、末永くお付き合いできることを祈るばかり。

ちょっとK師はお疲れのようだった。


No.685 PERMALINK

2日目

2026/08/11(火) 22:40
仲間たちとも打ち解けて、2日目。
開始は9時。
15分かけて、作業場まで行く。(うちの県の人間なら、車移動の距離だったりする)。


午前中はヒゴの削り。
せっせといくつも仕上げていく。
各段に昨日より上手になっていて、「習うより慣れろ」「practice makes perfect」なんて言葉が頭をよぎる。
しかし、右手の小指の外側をまた竹の角に当ててしまい、痛いなあ。
でも、今日は流血騒ぎ何度も。(私ではない)。
竹のささくれで切る、手鉋で切るなど。リタイアするほどの怪我がなかったのが幸い。
以前、一日目に足の複雑骨折という人がいたそうな。(でも根性で最終日まで参加したらしい)。

昼ごはんはなんと特製ちらし寿司。
それに、冷たい野菜サラダや付け合わせ。器も旧家ならではの良いものを出してくれて、至れり尽くせり。

昼が終わったら、ヒゴの焼き入れ。
ヒゴを炭化させるために7気圧かけて125°くらいまで上げるらしい。
凄いでっかいヒゴが丸ごと入るマシンが出てきた。

普通の弓師は手で火入れすると思うけど、こっちが均一にできて良いんだよとのこと。

しばらく時間がかかったが、甘い良い香りがして、ヒゴが出てきた。
薄い色で「炭化足りんかなあ」とぼやいていた。

ヒゴができれば、自分の弓の粗削り。
粗削りは「失敗しても良いよ」と言われ、結構大胆に削る。
一番に削りあがり、K師のところに持っていく。
「よし」。

K氏はテーブルのこ(丸のこ)の部屋に私を連れて行き、「絶対に手をだすな」と言いおいて、作業を始めた。
素手で高速回転するのこを使う。これは手をだせと言われても無理だ。
私の弓竹はみるみるちに両端をカットされていく。ものの10分もかからないうちに、だいぶ細身になった。

そこから、また削る。
私は早いほうなので、K師が丁寧に「こうするんだよ」と見本を見せてくれる。
いや、丁寧と言っても、本当に楽そうにシュシュと削っていく。「あ、これ、失敗できないからね」
その一言でもう無理(つд⊂)エーン。

仕上げ削りは、ミスのないようにと言い渡されてド緊張。
すると見かねて「いや、仕上げの仕上げは僕たちでやるから大丈夫だよ」と言うそばから「しかし、鉋屑がネズミの巣を作るようなサイズじゃだめだよ」と。
K師の鉋屑はでっかい。一回でバーッと仕上げているのがわかる。
私はちょこちょこしか削れないので、ネズミの巣になっちゃう。
ウーン。

ちょっと他の人とスピードが合わなくなったので、休憩を挟みながらだべっていると、上から「手開いてる?」と声がした。

はーいと応えると、台風が来るので、家の屋根に干している弓竹を全部片づけるのだという。
屋根? はて。
興味本位で長い梯子をのぼっていくと、三階の屋根の上に出た。もちろん柵も何もなく、高所恐怖症の私には目が回る展開だ。
しかし、ここでは私が高所恐怖症ということを誰も知らない。屋上までノコノコついてきて、今さら帰れない。
下をみないようにしながら、竹を運び少しのお手伝いをした。

後で聞いたが、K師はこの三階の屋上から落ちて、尾骨と肋骨二本、恥骨を折って救急車で運ばれたことがあったらしい。聞いてたら、上らなかったな。
でも、三階から見る京都の町屋の雰囲気はすごく良かった。間口が狭く、後ろに長く。隣と近い。

さて。
本腰いれて、仕上げ削りですよと思っていたら、時間が来た。

夕飯は鶏肉とレンコンの和風ハンバーグ(シソつき)、豚の角煮(最高でした)、冷たくしたマロニーと野菜とひき肉の炊き合わせ、パプリカの酢漬け、冬瓜のスープ(これがまた、絶品)、こんなにおいしい料理は、なんというか、感動。(生まれて初めてと書きそうになったが、きっと違うのだろう)。
K師の奥様は、私と同じ名前で、笑顔のとてもやさしい色白の方である。
美味しかった旨伝えるととても喜んでくださった。

夕食時の談話も滅茶苦茶盛り上がった。

いや、今年は初めから盛り上げるよね。
あなたみたいな人がいるから助かる。

K師は私の顔を見る。

え? おしゃべりってことですか! いつも「うるさい」って言われてますよ。

そーやろそーやろ。
K師爆笑からの一同爆笑。

ったくーーー。
黙っておけばいいと思いますよ。でも、ついつい話してしまうんですわ。
職業病ですかね。
だって、『弓と禅』(オイゲン・ヘリゲル著)の話から、ナチスドイツの話とかになるじゃん。
ついつい正確な年号をいいたくなるでしょうw
本能寺の変はたまたま年号おぼえてた。イチゴパンツです。1582年w これは覚え方が受けた。
ちなみにK師の創業は本能寺の変の50年前である。


画像を貼ろうとしたが、失敗。
URLを貼ります。クリックしたら、昔懐かしいCMが出てきます。
35秒くらいから、K師です。メガネのおじさん。今はオジイサンかな。
https://youtu.be/DjmVdP3mRFc


No.684 PERMALINK

1日目

2026/08/10(月) 22:34
ワークショップ1日目。
8時11分の新幹線に乗り、京都へ。
2時間10分ほどで到着。
タクシー乗り場を間違えて、大回りして到着。

20キロの桑幡道信を連れて行く。(新幹線の天井が低いが、裏ぞりがすごいことになっているので問題ない!)
首折れ? 廃弓? というボロボロの弓で数週間は使ったが、器具庫に置いていたらひっくり返った…。
当代(21代目)のK師は「いや、いけるやろ?」と言ってくれたので、明日、弦を張る予定。

鎌倉から遅れて参加の女性を待っているうちに昼食となった。
食事は昼と夜用意してもらえる。K師の奥様が作ってくれる。
一日目昼は特上ビーフのすじ肉のカレー。すげーうまかった。
お代わりしたかったが、午後の作業に困るかと思って遠慮した。(かがんでの作業なので、腹が閊えると困るw)

午後から作業。

まず、竹の上下。
節に手を滑らせて、なだらかなほうが上。引っかかるのが下。
そして、下は引っかかるのと、雨水などで若干黒い。
節間も、上に行くほうが長くなる。

それから、芽竹と脇竹の見分け方。
枝が出ているほうが「芽竹」そうじゃないほうが「脇竹」。
芽竹が弓の材料になり、脇竹はヒゴの材料となる。
十字型の竹割を使って、まずそれらの竹を割る。
これが、結構難しい。1発目がちゃんと入らないと割れない。私があまりにとろいので、息子のMさんがほぼやってくれた。単純作業は得意なのだが。

そして、脇竹は二つに割いてから節を取る。
鉈と言っていたが、なんと日本刀のなかごと刃の部分20cmほど残したものだった!
なかごの部分をもって作業する。(銘が入ってるものもあったが、贋作らしい。残念)。刃はほとんどつぶしてある。だから間違えて刃を持っても手は切れない。

その作業も結構大変w
それも、作業場の外の道路でやるので、車が来るたび声を掛け合って引っ込むw
おなじみの光景なのか、ドライバーさんたちも軽く会釈して通り過ぎる。

その後、21代K師と話し合いながら、弓力手幅などを加味して、弓にする竹を決めていく。
K師は私の手を見て、「うわああ、可愛いねー。体格や声や態度とはイメージ違うねー小さいね」と笑ってくれた。
前半は余計だが。
で、たぶんワークショップ参加者の中で、一番強い弓を頼んだ。18キロ。
まあ、竹弓は弓力が落ちるものなので、16から17に収まればOK(^^♪

私のような弓道歴10年はペーペーと思ったら、2年目の人とか、5年とか、いろいろおられて、心が軽くなった。

竹は内竹と外竹で違うものを使う。
K師は何本も竹を手に持ちぶらぶら揺らして重さや反発を見ていた。
それで強さってわかるんですか? と問うと「自然物だから、わからんよ」という。
わからんのかい! と思ったが、この作業は私たちにはできないので、見守るだけである。
「手を見せて」と言って「何キロ?」と聞きながら、片手で竹(芽竹)をぶらぶら。ハイこれ。
それで、やはりわかるのだ。時々外すけど、大きな外しはないよとは息子さんの弁。
私は並寸だが、並寸用の尺がある。
それで手早くマジックで握りのところと、上下を決める。
上下を切り落とすのは私たちの仕事で、のこぎりで切り落とす。
切り落とした部分は記念に持って帰っていいよと言われたが、でかい竹を4切れも持って帰るのは無理なので、一つだけカバンにしまった。

丁度握りの来るところに自分の名前を書き込む。「大きく書きすぎるんじゃないよ。端っこは切り落とすからね」と私を見て言う。
あんたが、一番やりそうだ。
ははは。なんで? いや、その通りだけどね。(職人というのは、そういう人間観察の目も確かなんだろうか)。

そこからは、ヒゴ造り。
ヒゴになる脇竹の節をなだらかに専用の道具「手がんな」で削っていく。
持ち方、台の抱えかた、胡坐に座っての作業である。
京都の町屋は、間口が小さくて奥が深い。
店先で竹を削っていると、多くの外国人観光客が通り過ぎる。
おおーとか言って、手を振ってくれるので、ニコニコ手を振り返したりして。
しかし、節の硬いことよ。
実は「怪我には気を付けて」と言われていたが、右の小指の外側にどうしても台に当たる。
イテテとなってしまった。

夕食のとき、K師に言うと「当たるんですよ」と自分の手をだしてくれた。
なんと右手の小指側の外側はガチガチになっていた。
職人の手だわ。

自分のぷにゃぷにゃな手が、赤ちゃんに見える。
明日も痛いだろうけど、頑張らなくては!
そして、胡坐は得意なので、別段疲れることもなかった。
暑さもこの時期の京都としては涼しい一日であった。

というか、明日もヒゴづくりらしい。
私の弓打ちは14日予定である。
うわー楽しみ。
No.683 PERMALINK