続けて本を読む

その他 2025/09/01(月) 21:59
オリバー・サックス先生が亡くなって、ずいぶん経つ。
今見たら、2015年8月没なので、ああ、10年かと思う。
最初に知ったのは、「レナードの朝」という映画だったかなと思う。

図書館のサックス先生の本を読み漁った若いころを思い出しながら、オーディブルに入っている著書をもう一度読み直す(聞き直す?)。
晩年の著作は、紙で読んでいなかったので、何とも不思議な感じがした。(『幻覚の脳科学』)

今読み直すと、医学知識が入ってい私と、まだ医学素人だった私との間で全然感想が違ったりして、面白い。
レナードの朝は映画と原作とはまた全然違う。

すべての患者への暖かなまなざしと、敬意がまぶしい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

サックス先生は、しかし、「幽霊」とか「モンスター」とか「妖精」とかは「幻覚」であるという。
金縛りも、幽体離脱も「幻覚」であるという。
側頭葉てんかんの発作でも、「神」を見るし、「神」の声を聴く。
(ちなみに、レフ・トルストイも若いころから、側頭葉てんかんで神を見ている)

私の身近に「霊」とか「神」とかいう人は少ないが、そうそう、大東流のN師範は「神」をよく見ていた。
瞑想していたら、来るのだそうだ。
師匠も側頭葉てんかんだったのかな。

実も蓋もないな。

しかし、「見た」ことや「聞いた」ことが幻だったというのは、どんなに恐ろしいことだろうか。
と言いつつ、私は片頭痛持ちなので、片頭痛の前兆である「ハロ」と呼ばれる幻覚を見る。
片頭痛が始まる前に、脳の血流が変化し、視野の下とか横とかがナミナミになる。視界の一部が水に揺れているような。
視野中心ではないので、それを見ようとするとまた視野の端っこに逃げる。
今でも疲れると、視野がナミナミ、グネグネになっている。(運転には支障はない。中心視野で見ているので)。
でも、最初は気味が悪い。大人に相談しても誰も取り合ってくれなかった。
自分が大人になって、その幻が、「ハロ」ということを知った。
たぶん、それを知ったのはサックス先生の本だったような気がする。

そういう身体の仕組みが知りたくて、医学系に進んだというのもあるな。

サックス先生の本は、何度読んでも面白い。
なんなら、サックス先生の本を聞くために車の運転をしているようなもんだ。
昨日、最後の『幻覚の脳科学』を聞き終わった。
またしばらくしたら、聞こうと思う。

No.633 PERMALINK