服部喜寿。
大正時代の弓師である。
そんな人の作った弓が手に入るとは思ってもいなかった。
それが、ちょうどの弓力(17.2キロ)で出てきた。
最初78000円だったのが、買い手がつかず54000まで下がった(送料込みだ)。
弓の取引は送料がだいたい1万円くらいかかるので、実質5万を切る価格。
これはね。もうね、買わないとね。
買いました。
写真を見ると、かなり下が立っている。
銅が強い。下手するとこれは暴れるぞ。
10日ほど巻き藁でじっくり鳴らして(大三まで20回×2日、目通りまで20回×3日、会まですぐ話す20回×3日、会を持つ20回×2日)、的前。
というかね、巻き藁していたら、お年寄りのH野さんが飛んでくるわけよ。
「誰が引いてるの?」
「あ、私ですけど」
「ええ? あなた??」
きょとんとしているんで、「私ですよ」ともう一度答える。
ウーンと考えて、「いや、すごい良い弦音がしたからねえ」とちょっと不思議そうに私を見る。
あはは。そうですよ。これ、100年前のニベ弓ですよ。
H野さんは、それで! と得心した顔で弓を覗き込む。
見ます? というと、嬉しそうに見てた。
うわー、いいねー。
射手の腕は悪いけど、弓が良いんですよ。と私が言うと( ̄∇ ̄;)ハッハッハと笑って去って行った。
今、毎日的前24~28射で終わるようにしているが、きちんと引けたときの感覚がすごい。
ぞっとする。矢がもう、糸を引くように真っすぐものすごい勢いで飛んでいく。音もすごい。
カンというような甲高い鋭い音が響く。
でも、少しでも緩むと矢勢がなくなり的の下に集まる。
音もバリッというような濁音になる。今、半分くらいしか中てられない。
これが引けるようになったら、どんなにいいだろうか。
冴える弓っていうのはこういうものだと、初めて知った。
今まで引いていた弓は「鈍弓」なんである。
鈍弓も悪くはない。素直に飛んでくれるし、音もまあまあ。
何より壊れにくい。
冴える弓は怖い。
壊れやすい。でも、魅力がある。
暴れ馬のようだ。
まあ、審査もあるし、ぼちぼち使いましょう!