忘れえぬこと

UNARRANGEMENT 2024/01/21(日) 22:44
だいぶ思い出すことも減ったはずだ。
稽古していれば忘れられると、稽古に打ち込んできた。

思い出さなくなったのではなくて、思い出しても苦しくなくなったということかもしれない。
一抹の寂しさはあるが、これもまた人生なのだろう。
遠くからでも、存在が確認できて、お元気そうなのが嬉しい。
昔のように身もだえするような苦しさはない。
忘れたい、忘れたいと思ってた時には、苦しくてしかたなかった。

今はあの方なら、こんなときどうするだろうかと、思い返すことはあっても、「いや、あの方は〈石橋をたたいて壊す〉タイプだから、私とは真逆のことになるな」と苦笑して終われる。以前はそこから感傷に浸っていたのだが。
今回、あの方が指南していたカルチャー教室がつぶれることになった。
短い間だったが、とても楽しかった。
そのことばかり思い出すが、思い出せるのは、嫌なことじゃない。
あのヘンテコな薄っぺらい畳の感触や、稽古のあとのお茶。

1つ1つ、思い出の場所がなくなっていくなあとは思う。

あの方を乗せて運転した、軽自動車も廃車となった。
もう、私のナンバーもわからないだろう。
もうあの方の車も知らない。

お元気ならそれでいい。
素敵な方だった。
素晴らしい方だった。
感謝している。
No.507 PERMALINK